詩を味わう『ポケット詩集』 013:表札 ― 石垣りん

詩を味わう『ポケット詩集』 013:表札 ― 石垣りん

より抜粋

    「自分の住むところには
    自分で表札を出すにかぎる。

自分の寝泊りする場所に
他人がかけてくれる表札は
いつもろくなことはない。」

以上、引用は、田中和雄 編『ポケット詩集』P60より

社会生活あるいは人間関係ってある意味、他人に表札をかけ続ける行為なのかも知れない。

あのひとはきっとこうだと人は勝手に決め付けて、その表札を本人の断りなしにかけようとする。

そしてその表札をほんとうに自分でかけたのだと思い込んでしまう。あるいは他人が掲げたことを忘れてしまう。

しまいには自分は自分にかけられた表札どおりの人間なんだと思い込んでしまう。